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波多野均つれづれアート

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どうして、こんなに長くフランスに住むようになっちゃったのか・・・⑰

夏のパリの音楽コンサートのアルバイトでいろいろな体験・経験をすることができました。例えば、演奏家の使っているハープシコート、クラヴサン、チェンバロを演奏家の自宅やアパートに取りに行って、音楽コンサート会場の教会に運ぶ・・・朝早くから取りに行くので、演奏家はまだ寝ている場合が多い・・・中には、ベットにもう一人の男性・・・偏見ではありませんが、ホモセクシュアルの現場を初めて見たり・・・こっちの音楽の世界、芸術の世界では、多いんですよね。ケッコウ、ホモの人が・・・ピアノを運ぶ場合は・・・パリの古い建物は小さな、ひとりかふたり乗りのオモチャのようなエレベーターしかなく、階段を使ってのピアノおろし・・・フランス人のローランと私のふたりで下ろすわけです。腰に幅広の黒いバンドをまいて、ピアノ保護カバーに付いたロープを肩からかけ・・・すこしずつ、階段をおりる作業は神経を使い、集中力のトラバーユです。重いピアノだから、大勢で運んだ方がラク・・・と思うのは、トーシロー、しろうとのこと・・・で、2人で運ぶのがプロフェッショナルなのです。・・・そうやって、絵の世界とは、全然関係ない世界でのバイトは・・・今になってはノスタルジー・思い出ですが、その時は・・・なんで、フランスくんだりまでやってきてピアノ運び肉体労働をやっているのだろーと思ったものでした。そうやって、朝から汗だくになってトラバーユをし、お昼前にはカルチエ・ラタンにある音楽事務所に顔をだす・・・事務所のバイトのお姉ちゃんと夜の本番の音楽コンサートの打ち合わせをして・・・近くのクスクス屋で昼定食を食べる・・・というのが毎日でした。その前に必ず、ローランはカフェでアペリティフ・食前酒を飲む・・・パスティス、お水で割ると白くにごる強いアルコールに氷をいれる・・・お前も何か飲めっていうので・・・生ビールを注文、昼間からパスティスを飲んだら足をとられてしまう・・・それから、いい気分でクスクス屋に行って、クスクス定食を食べる・・・お昼の食事代は音楽事務所払いだったのです。でも、条件付のお昼ごはんだったのです。・・・一切、アルコールを飲んではいけない、飲んじゃダメー・・・ローランは、ああ、アルコールってワインのことだろ。じゃあ、ワインじゃないお水がわりのビールを飲もうぜー・・・パリの水道のお水はカルキ臭くて、飲めたものじゃありません。労働者はお水の代わりにビールを飲んでるっていうのが普通です。・・・というわけで・・・何がなんじゃら分かりませんが、クスクス定食にビールを飲んでお昼ごはんしていました。・・・教会のコンサートは夕方から始まり、後片付け・・・真夜中近くまでのバイトですから、お昼からビールをしこたま飲んでいいのかなー・・・続く・・・。
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パリのメトロ・地下鉄のモンパルナス・ビィヤンブニュー駅の乗り換え通路で見かけた・・・キタノタケシの展覧会ポスター・・・ビート・タケシ・キタノって書いてある。会場はラスパイユ通りのフォンダション・カルチェ、カルチエ財団・・・大昔に、ここにフランス人の紹介で展覧会をするためにドーシエ・画歴と絵の写真を持って、面接に行ったことがある。当時の私の仕事は現代美術系表現で、テーマはヒロシマ・ナガサキ・・・ベットの上に爆発したようなチューブ・・・スパゲッティみたいっていうおっさんもいた・・・の大きな絵やラジオ・アクティビィティ、放射能の黒い雨なんかを絵にしていた・・・事務所の責任者が、あまりにもポリティク・政治的なテーマなので・・・ということでボツになった。アーティスト・アンコニュ、無名のアーティストだったから、無理もなかった。・・・今でも、アーティスト・アンコニュだけれども・・・それから、自己紹介をする時には、ジュ・スィ・アーティスト・アンコニュ、わたしは無名の芸術家・絵描きです・・・っていうと、フランス人はニヤリと笑う・・・キタノタケシの展覧会ポスターを見て、アーティスト・トレ・コニュ、とっても有名な芸術家とアーティスト・アンコニュ、無名な芸術家・・・わたしのこと・・・の出会いにニヤリと笑ってしまった。地下鉄の通路は夏のソルド・バーゲンセールの紙袋をいくつも持った若い女子でいっぱいだった。
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パリ南郊外の朝陽をあびて美しい白い野生の朝顔・・・日本のように夏の朝顔を愛・めでるという習慣・伝統はフランスにはありません。歩いていても気をつけていないと、見すごしてしまいそうな白い朝顔です。人生でもそういうことがあります。毎日、通っている道や見ている物の中に見すごしてしまうもの・・・名前もない、無名の・・・そういう美しい朝顔です。朝顔の花言葉は・・・明日もさわやかに、平静・・・フランス語表現で言うと、セレニテ・・・心が常に平安で落ち着いているさま・・・が近いかな・・・。
by h-hatano-art | 2010-07-18 06:32